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『ハムレットマシーン』上演に寄せて
2023.12.2-4/吉祥寺シアター
イディオ・サヴァンのパフォーマー動きは激しい。床を這い、唸り、叫び、舞い、複雑な振り付けを集団で踊る。ハイナー・ミュラーの『ハムレットマシーン』は、シェイクスピアの『ハムレット』を下敷きにしつつ、東ヨーロッパにおける理念の死を象徴的に描いている。生者と死者の境を演劇的に追究しつづけてきたイディオ・サヴァンが2018 年に上演した『ハムレットマシーン』は、さまざまな格差に直面する私たちが前世紀に失った大切な理念を悼む儀式となった。コロナ禍を経験し、この社会と世界の未来を考えざるを得ない今、その再演が待ち望まれる。 〈 全文 〉
― 新野守広氏 ( 演劇批評家 )
「IDIOT SAVANT theater company」は、人間の生理的な限界を越える12時間の公演を行ったり、汚い廃映画館や寺院などでも積極的に公演を行ってきた。また、ファスト感などを無視し、人間の奥深くを抉ろうとする。観客は、狂ったような「演技」を観るのではなく、目の前にいる狂ったひとりの人間を目の当たりにすることになる。60年代のからのアングラの重荷を背負いながら、それでいてなおもその先を探り、人間の奥深くに切り込もうとする。その情熱は、いつも熱い。 〈 全文 〉
― 真壁茂夫氏 ( OM-2演出家、元d-倉庫代表 )
IDIOTは時空を駆け巡る。芸術は時間と場所によって姿形を変容させてきたが、本質となるべき点に変化は訪れない。IDIOTは、その本質をいつも携えている。芸術における本質とは、不可解な人間と同様に、複雑でなかなか見出せない。だからこそ我々は、IDIOT の舞台に立ち会うことが不可欠になる。 〈 全文 〉
― 宮田徹也氏 ( 嵯峨美術大学客員教授 )
artissue_no12
die pratze Hamletmachineフェスティバル/2018.4.20-22/d-倉庫
『ハムレットマシーン』は、これまでの彼らのやり方を踏まえた上での、前衛の死者に捧げられた儀式であると思えた。このカンパニーにとって死は時空を超えた大きなテーマであることが感じられた。〈 全文 〉
前衛的な舞台芸術のプラットフォームartissueに紹介いただきました。
― 新野守広氏 ( 演劇批評家 )
Theatre Arts
『傾いでいる、筆先に佇てなんていうものだから。つまり、転んでいよう、人生が。―Lean or Stand Still. 』国際舞台芸術祭2016「北斎とかぶこう!」フェスティバル/2016.7.7/シアターX
―イディオ・サヴァン、死者の怒り、そしてかすかな希望―
ここで強調したいのは、東日本大震災で亡くなった死者たちと表現を通して向き合う彼らの姿勢である。イディオ・サヴァンは近代劇の代理表象に依るよりも、詩的世界の構築を目指す方向に可能性を見出し、死者の言葉を舞台に響かすための方法を探っているように思う。絶対的な存在である死者を演劇の代理表象で演じることはできないという判断があるのだろう。そのため舞台は抒情に染め上げられる。〈 全文 〉
国際舞台芸術評論家協会Webマガジン「シアターアーツ」に取り上げていただきました。
― 新野守広氏 ( 演劇批評家 )
Wonderland
北嶋孝氏(マガジン・ワンダーランド)
『黒縁のアテ』アリスフェスティバル2006/2007.1.25-28/タイニイアリス
終幕によって幾重にも反転する劇世界 「演劇を問う演劇」の戦略的遡行 〈 全文 〉
『馴れあう観客』2006/4.7-9/タイニイアリス 〈 全文 〉
小劇場レビューマガジン「ワンダーランド」に取り上げていただきました。